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《散歩でさんぽ》 道草122号より

2019420 日更新

この春、息子たちがそれぞれの生活を始めるようになり、若者に合わせていた献立が大人のものへと変わりました。私が食べたかったものを作りはじめてみると、それは全部幼い頃の献立になりました。大根の贅沢煮、ワケギのぬた、三つ葉とほうれん草のおひたし、焼き豆腐の炊いたん、イワシの一夜干し、酢じゃこ・・と、まるで修行する人のような連日のご飯です。
私は、明治30年生まれの祖母の料理で育ったのですが、きっとそれは祖母がその母から学んだ料理に違いないので、その味を再現している私は、日々、江戸の食事を並べているのかもしれないなあと思うようになりました。一見それは、質素で良さそうなのですが、私の記憶にある祖母の味に完成させると、ものすごい塩分になります。そう言えば昔のおかずは何でも塩辛かった。特に「すけとの焼いたの」というパサパサの塩の固まりのような魚の干物が記憶にあります。
友人に「昔の料理なら、何でも作ってあげる」と話したら、「大根ずし」のリクエストがきました。思い出の曲が人によって違うように、当たり前ながら思い出の味もまったく違うのを実感。私はそれを見たことがないので、大根ずしが売ってるお店を紹介させていただきました。皆様の思い出の味はどんな料理を思い浮かべられるでしょう?  
さて、美しい桜の季節です。音楽の散歩道の後は、ぜひ会場隣の川原の桜を眺めてくださるのもいいかと思います。                  
ありがとうございます。  東岸佐優里