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《散歩でさんぽ》 道草120号より

2019214 日更新

「パベットの晩餐会」という映画を観ました。19世紀を舞台に質素な生活を送っている村人たちと、一人の女性との出会いと当惑、そして晩餐会の一夜を描いています。少し紹介致します。
村に住む美しい姉妹は牧師である老父と清貧な暮らしを送っている。それぞれに求婚の申し出があるが、父に仕える道を選び結婚する事なく、清廉な人生を過ごしながら老いていく。やがてそんな姉妹の元にフランスから亡命して来た女性バベットがやって来て、家政婦として働くようになる。バベットが来てから、姉妹の暮らしは豊かなものに少しずつ変化する。そんな折、バベットにフランスの宝くじが当たったという知らせが届く。姉妹はそのお金でバベットはフランスへ戻るだろうという予感を感じながら寂しく過ごしている。村では姉妹の父が亡くなってからというもの、小さな諍いが絶えずあり、信仰心も衰えていたので、父の生誕100年を記念した晩餐会を催して村人を招待することを姉妹は思いつく。その直後、バベットは姉妹にあるお願いを申し出る。それは「晩餐会の食事を作らせてほしい、費用は自分が出したい」というもの。姉妹はバベットに晩餐の準備を一任。しかし運び込まれた食材が、生きたウミガメや沢山のウズラであることを見た姉妹はそれを食べる天罰を恐れ、村人たちと話し合い、当日は食しても味わうことなく、食材の話もしないと決める。そしていよいよ晩餐会の日を迎えて・・(続)という話です。映画の舞台が暗いグレーの雲と海の背景で、カラーの映画だったことを忘れるほど。だからこそ時折出てくる歌やピアノが、作品の彩りのように感じられて、ストーリー最後のどんでん返しにも心温まる物語です。その中の「人は天国へは与えたものしか持っていけないのだから」というセリフが、今もずっと私の心に残り続けています。私にとっては“清廉”というものが何かを気づかせてもらえた貴重な作品になりました。アカデミー賞外国語映画賞受賞した作品です。
さて・・早いもので来年度のゲストさまを考える時期になりました。リクエスト曲に併せて、ゲストの方や、聴いてみたい楽器がありましたら、入り口にあるカードにリクエストいただけたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。  東岸 佐優里