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《散歩でさんぽ》 道草113号より

2018712 日更新

今年も暑い夏がやって来ました。迷ってはみるものの、ずっと取り付けないでいた自室のエアコンもそろそろ我慢の限界の予感です。部屋の窓を開けると風が通る日も多かったのですが、このところは息苦しいような暑さで目が覚め、眠れぬ夜が増えました。何か策はないかと思っていたところ、先日、実家の片付けで南部鉄器の風鈴を見つけました。せめて耳から涼やかになろうと持ち帰り、ウキウキと吊るしてみたのですが、風のある日でさえ一向に鳴りません。「息を吹きかけたら鳴るのに」とずっと恨めしく眺めていたのですが、風鈴について少し調べて見ることにしました。すると、風鈴がよく鳴る為には紐の長さや短冊の厚み、紙の重さの絶妙な条件が必要と書かれていました。そういえば、私の風鈴は当初の短冊が千切れたようで、絵葉書を切って、タコ糸で風鈴の舌に結びつけたもの。これではバランスが悪く鳴るはずがなかったのです。しかしながら修理したのは亡き父。短冊を結ぶ父の姿が想像できるがゆえに、取り替えてしまうのがもったいなく、結局今も風鈴は鳴らないままでぶらさがっています。今夜も窓に黒い影で風鈴の形を示し、夏の風情だけは感じさせてくれていますが、しかし・・あかん。見るだけではちっとも涼しくない。せめて1回チリンが聴きたいです。
これから暑さの盛りが来ます。どうか皆様もご自愛くださいますように。東岸 佐優里