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《散歩でさんぽ》 道草114号より

201889 日更新

あっという間に8月、もうすぐお盆がやって来ます。お盆になるとお線香と一緒に、お供えの桃、マクワ瓜、ぶどうなどの甘い匂いが家中に漂って、そのなんとも言えない香りが私は小さい頃から大好きでした。仏様を拝みながら目星をつけていた供え菓子が下がるのを「今か今か」とワクワクしながら待っているのも楽しみの一つでした。
そしてお盆といえば「御詠歌」の思い出もあります。祖母の後について一緒に毎回唱えました。そのメロディは子供の私でも哀愁を感じるものでしたが、三十三番まで謳っても節回しが頭に入らず、ようやく謳えるようになった頃にはお盆が毎年明けてしまいました。そしてまた翌年、一からやり直し。何年も何度も教わった「御詠歌」ですが、今だに節があやふやで定まりません。こんなに覚えられないのは、もしや祖母の節が毎回違ったのではないかと今は思うくらいです。祖母が他界し、CDを購入してみたのですが、それは私が習ったものとは随分違っていました。教わったのはきっと我が家流の節回しだったのかも知れませんが、こうなったらドレミの譜面を作成して、このお盆にはブレずに三十三番謳えるようになりたいと思います。 昔々、まだ譜面がなかった時代、伝統音楽は全て口移しで伝えられたと聞きます。私の知人に日本で初めて神楽を譜面に起こして伊勢神宮に奉納したという人がいます。それもそんなに昔の話ではないので、現在も人が口移しで音楽を伝える文化を守っているからこそ、西洋音楽と違うワビサビというものが生まれるのかも知れません。 しかし私にはまずは正確さ。このお盆は仏様に見守ってもらい御詠歌譜面作ります。
暦は秋になりましたが、暑さまだまだ厳しいです。皆様もお体気をつけてお過ごしください。東岸佐優里