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《散歩でさんぽ》 道草110号より

2018412 日更新

「関西弁っていいね。同じ意味の言葉でもキツく感じないし、何より楽しい。」と関東の方に褒められました。私は東京へ音楽の講習に通っているのですが、そのグループワークでお互いの悪いところを出し合っていた時、友人がそう言ってくれました。私以外関東人で、言葉のコンプレックスがあったのですが、その一言で嬉しくなりました。  東京で毎回困るのが土地勘のなさです。 先日のこと、私は池袋に着いて見上げた空の先に宿泊予定のホテルがすぐ見えました。「今日は迷わず行ける」と思い、スマホのナビの指示通り歩いてみたものの一向に辿り着くことができません。スーツケースを引いて同じ道を何度も行ったり来たり・・。 ついに立ち止まって途方にくれ、道の端で足早に行き交う大勢の人たちを眺めていたのですが、ふと「関西弁っていいね」という友人の言葉を思い出し、おばちゃん魂を発揮してクサいくらいの関西弁で通りがかりの青年に道を尋ねてみました。青年は私のスマホを覗きながら「そこのコンビニの隣みたいですよ」と指差しながら教えてくれる。「ちゃうねん。そこ行ったけどなかってん」と私。すると青年は自分のスマホで調べて「じゃあ、僕が一緒に探しましょう」と言って、私を気遣いながら路地をいくつも曲がりホテル玄関まで案内してくれました。「めっちゃ助かった」と丁寧に(笑)お礼を述べる私に手をふって去っていくヒーロー。世の中捨てたものじゃないのか、それとも関西弁のおばちゃんの迫力に負けてしまったのか。でも困った時の方言ってやっぱめっちゃいいかも・・とかなり思っています。「音楽の散歩道」での私もスマートな標準語での話ぶりとはいかず、いつまでたっても修正できません。 温かいお耳を拝借、今後ともよろしくお願い致します。東岸佐優里